東京都美術館にて今年も版画協会展が開催されました。今年は審査委員も務めさせて頂き、若い作家から年配の作家まで 幅広い年齢層の出品者の作品を審査するのですが、私個人的な趣味嗜好というものではなく、版画協会の理念に添った作品を慎重に選ばせていただきました。決められた短い時間内で、それを判断する事は予想違以上に困難を極め、作品を視た瞬間に そのものの魅力を感じるか?伝わるか? が いかに重要であるかを痛感致しました。落選してしまった作品の中には本当に惜しいものもあって、それは、単に技術力や作品自体の魅力の問題ではなく、見せ方 の問題であったことも ひとつ感じたことです。
研究会の日には受賞者はもちろん、各出品者の作品に対する熱い思いをお聞きし、逆に私も胸が熱くなる思いでした。中には これから先も続けていけるのか不安を感じる若い作家から、版画制作が最近楽しくなってきた と還暦を超えた女性の作家さんの生き生きとした言葉までありました。私たちも今は審査員という立場ではありますが、同じ版画作家なのだ という事を忘れないでいたいし、お互いに切磋琢磨してこの版画協会を盛り上げていくことは、日本の版画文化の発展にもつながることであると思います。